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吉野川シンポジウム実行委員会
吉野川まるあそび
 

10月20日・21日、善入寺島で「まるあそび2007」が開催されました。

 
   
 

約300人が集まった 10月20日、前日の不天候とはうってかわった青空の下、善入寺島に約300人が集まった。1泊2日の「吉野川まるあそび」である。ゲストはカヌーイスト・野田知佑さん、絵本作家の梅田俊作・佳子夫妻、全国の川を網羅する魚捕り名人「雑魚党」のメンバー、奥山英治さんと藤原祥弘さんだ。
  早速、吉野川の川原のあちこちで遊びが始まった。

雑魚党がガサガサを指導  メイン会場から車で5分ほど移動した用水路では雑魚党がガサガサを指導。この魚捕りを初めて行う参加者は、こんな膝くらいの深さの水の中をただ網に向かって小走りするだけで果たして捕れるのか、といぶかしげだが、ばちゃばちゃと音を立てて追い込む作業に笑みがこぼれている。


ザリガニの握り方「うわぁ、入ってる!」

「これザリガニだ!」

  簡単な作業で予想以上の収穫に皆、驚き喜んで、感心していた。ザリガニを手にとってみたいが触れられずにいる子供に、両方のハサミを頭の方から握ると挟まれない、と奥山さんが教えた。

バケツいっぱいのアメリカザリガニ  何度かやってバケツいっぱいのアメリカザリガニが捕れた。これを塩ゆでにしたり、マヨネーズをつけたりして食べる。ザリガニの唐揚げも大好評で、揚がった途端にたくさんの人だかりができてすぐに完売してしまった。口に入らなかった人がキッチンの近くで次の揚げたてを待つといった具合で、調理係も嬉しい悲鳴を上げていた。翌日のガサガサでは、ザリガニの他にコブナやタナゴ、ギギやシマドジョウ、ブラックバスも捕れた。

用水路  北岸の水路から淵へ入る流れ込みでは、釣りをしていた。親子での参加が多い。兄弟で来たという小学3年の男の子は、弟が釣れたのに自分はさっぱりで焦っていた。いくら待ってもアタリがないので、今にも涙がこぼれそうだ。そんな彼の竿先が振れた。

「よし、落ち着いて餌を食わせて。今だ!」

 
彼はハリ先の小さなオイカワに目を輝かせ、はちきれんばかりの笑顔で側にいたスタッフを見上げた。

  初めて息子と一緒に釣りをするという男性は、通勤ルートの善入寺島がいつもと違って新鮮に見える、といった。釣果はたくさんのオイカワとニゴイの稚魚が少々。

梅田夫妻の「飛びだす絵本づくり」  釣りには川ガキ卒業生達も多数参加していた。竿や餌を持参した彼らは自分達でポイントを見つけると、大人を尻目に次々と釣り上げ、年下の子にも教えてあげている。その姿にスタッフ達は嬉しさとたのもしさを感じていた。

  梅田夫妻の「飛びだす絵本づくり」には小さな子供達が鈴なりだ。長机からはみ出しそうなほど押し合って座っている。クレヨンやハサミを手に、画用紙や折り紙とにらめっこをしたり、時々クスクスと笑い声を立てながら、紙の上で思い思いに奇想天外な発想を繰り広げていた。

奇想天外な発想を繰り広げていた  カヌー教室も大盛況だ。特に2日目のカヌーツーリングは応募者多数のため、経験者は辞退していただくことになった。100人ほどの大所帯で吉野川を下った。野田さんの犬のアレックスも他の人のフネに乗り移ってはしゃいでいる。長野から参加したカヌー初体験の女性が沈の洗礼を受けた。吉野川の上を渡る風を楽しんでメイン会場のゴールに戻ってきた時、皆、ぴかぴかと光った表情になっていた。

  会場前の川原では、雑魚党・藤原さんの投網教室も行われた。東京湾一の屋形船の漁師に投網を教わった藤原さんの説明は要領をおさえていて分かりやすい。難しいのは網を手放すタイミングと投げ方だ。網を後ろに振った時の反動を利用して投げるのだが、力んでしまうとうまく広がらない。しかし8割方できているので皆、繰り返し挑戦し、ある男性は遠くの川面に見事な円を広げた。小さな男の子が足元に描いた小ぶりの輪の中には5pのウグイがいて、「魚が捕れた!」と喜んでいる。達成できなかった人達も投網の魅力にとりつかれたらしく、投網の種類や値段、メンテナンスについて聞いていた。

  雑魚党のお二人はナマズの仕掛けも教えてくれた。夜仕掛け、翌朝各自で上げてみたが、どれも入っていなかった。そこで藤原さんが潜水橋の下に潜って、ひっかけで60p大のナマズを2匹仕留めてきた。早速、雑魚党の調理講座だ。さばき方や内臓の説明をしながら、唐揚げ用に一口大にしていく。淡泊な味で食べやすく、子供達の取り合いになった。

アフリカの太鼓ジャンベ  川原に夕闇が迫ってきた。アフリカの太鼓ジャンベの音が鳴り響き、竹で作った燭台に火が灯った。今回の目玉は、初日夜の「川ガキ、川パパ、川爺三世代トーク」だ。

  コメンテーターは「川の学校」第2期卒業生の鬼木琴子さん(高1、以下ことこ)、川ガキ達の親世代である、徳島市議村上稔さん(41歳)、かつての川ガキであるアユ釣り師森口玄七さん(70歳、以下玄さん)、それにオブザーバーが野田さんだ。司会は「川の学校」第1期卒業生の新居拓也さん(大学3年、以下たくや)。それぞれの世代が持っている川に対する思いや、これからいい川を残すには自分達がどうすればよいかを語り合った。

  昔、川に潜ればアメゴが群れていてそれを突いていたことや、お盆には地域で川原に祭壇を作って祀り、川が生活に密着していた、と話すのは川爺世代の玄さん。

  川パパ世代の村上さんは、物心ついた時は高度経済成長期だったので、今よりずっと川が汚かった。だから、川ガキ達が羨ましい。少年時代にきれいな海では遊んでいたが、子供達のためにも大人がきれいな川を残したい、と語った。

  川ガキ卒業生のことこは、当時小学5年で、自分の思惑と反して「川の学校」に参加することになったが、ライフジャケットを着けると浮かぶことに感激し、カヌーをひっくり返されて、必死になっていたら泳げるようになった、という体験談を披露。川遊びを通じて、自分に子供ができたら子供にも同じ体験をさせたい、今の状態、今以上の状態の川を残したい、と思うようになった。

  「ぼくらの世代が、大学に入ってサラリーマンになるのが一番いい、という価値観だったので、その子供の世代が川などには興味を持たず、勉強ばかりで手伝いもせず、生活体験もないまま大人になった。」というのは野田さん。また、アメリカではダムをどんどん撤去している。撤去が難しいというのは行政が難しくしているだけで、ニュージーランドやカナダの行政はダムがダメといわれれば作らない、と話した。これについて村上さんも、「昔は必要な所にダムを作ってきたが、今はその形式だけが残っている。可動堰問題の住民投票の時は50%超の投票率の内、90%が反対票だったが、新聞報道では行政が『住民意見は反映しない』と言ったことを堂々と書いていた。」と述べた。

  今後、きれいな川を取り戻せるか?という司会のたくやの問いに、村上さんは「ぼくらが正面切ってやるよりも、たくややことこのような川の良さ、楽しさを身をもって経験している川ガキが増えることに将来を託すことができるのではないか。」と川ガキに期待した。ことこも「自分ができることがあれば、やりたい」といい、たくやも大きく頷いた。

  玄さん曰く「今は大人がセッティングして、子供にライフジャケットを着けさせて遊ばせている。昔のように自主的に遊ぶ人が増えれば変わると思う。」

 最後に野田さんがいった。

  「川はおもしろい、ということを広めて欲しい。単純なことだが、魚が捕れると楽しい。雑魚党のような人が増えれば、川ファンが増えて、川を汚す人に対して怒る。今の人は怒れない。まず魚を捕って川で遊んでみよう。こういう川遊びができるのは、今全国では徳島と高知のみだから。」

  この後、雑魚党のお二人による日本各地の川での魚捕りのスライドショーが行われた。奥山さんの魚の生態や捕り方の説明が面白くて興味深い。皆、日中の体験と重なって食い入るように観ていた。

  焚き火が夜気を暖め、めいめいカップを手に火を囲んだ。地元鴨島のまちかどコンサートの歌声が星空に響いていた。

  この他、野点、小松島の高校生が商品化したおからアイスクリームの販売、1日目夕刻の城山からの善入寺島眺望ツアー、2日目朝の島の休耕地にある産業廃棄物投棄現場見学ツアーなど、川原と川を遊んで食べて考える2日間だった。

  偶然立ち寄ったという、北海道から来た老年の男性達がいった。

  「ここは参加者も多いし、それに若い人達がたくさん働いていて、皆よく動くね。活気があっていい。うちも自然体験ができる似たようなイベントをやっているけど、若いスタッフはこんなにいないよ」

  来年のまるあそびも楽しみだ。

 
     
 
報告:本松みどり
 

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